差押物の売却

 差押えた金銭以外の動産は、これを売却して換価しなければならない。売却は原則として公の競売(入札を含む)の方法による。執行官は差押えをしたのち公の競売の方法により差押物を売却する。
 競売の法律上の性質については説が分れている。
 私法上の売買説では、買受人と所有者たる債務者間の売買で、民法五六八条の担保責任はこの理に基づくとする。この見解に従えば、目的物が動産である場合には民法一九二条が適用される。したがって債務者の所有に属さない動産がもし強制競売犯行された場合でも買受人は民法一九二条によって当該動産の所有権を取得することができることになる。
 公法上の執行処分説では、執行官は国家機関として売却処分をなし、私法上の権利関係を設定する公用徴収に類似の公法上の執行処分であるとする。
 そもそも競売は執行機関である執行官が債務者の財産について実施し、売却の結果買受人がその所有権を取得することになるのですが、これを競売を実施する執行官の側から見ると、執行官が債務者の物を売却できるのは差押えにより国家が債務者から取得した処分権に基づくものであって、その処分により債務者の意思にかかわらず、強制的に所有権移転の結果を生じさせるのであるから、公法上の処分行為であるが、買受人が売却の結果所有権を取得するときは、あたかも債務者を売主、買受人を買主とする私法上の売買と同様の関係が生ずると解される。だからこそ、債務者に対して民法五六八条による売主としての担保責任を負わせたのです。

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 差押物の売却の方法としては、入札、競り売り、執行官による特別の方法による売却(特別売却)、対象物によっては執行官以外の者に売却の実施を委託する方法による売却(委託売却)がある。いずれの売却方法によるかは、執行官が定めるが、動産はその性質上一般には競り売りの方法によるのが相当でしょう。特別売却又は委託売却の方法による場合は、差押債権者の意見を聴いた上、執行裁判所の許可を受けて売却をすることができるのです。
 執行官は、売却すべき数個の動産の種類、数量等を考慮して、これらの動産か一括して同一の買受人に買受けさせることが相当であると認めるときは、一括して売却することができる。差押え動産か一括売却に付するか否かは、執行官が自ら判断すべきです。すなわち、同一債務者に属する売却すべき差押物件の品目、数量等を検討した上、個別売却よりも一括して同一の買受人に買受けさせるのが適切、かつ、高価に売却することができると認めるときは、一括して売却すべきで、当事者からの一括売却の申出は、その適否を判断する資料とはなっても、これに拘束されるものではない。一般的には旅館や料理店の什器一式のようにひとまとめで利用される物や、倉庫内の同種の商品のようにまとめて処分するのが相当である物などは一括売却に適する物といえよう。
 同一債務者に属しない差押物や、債権者を異にするものについては、一括売却はできないと解されている。
 動産を一括売却するについては、あらかじめ公告すべき事項ではない。しかし執行官は売却を実施するときに、あらかじめ一括売却をする旨を告知すべきです。
 土地から分離する前に差押えた天然果実は、収穫時期が到来した後でなければ売却してはならない。未分離果実の売却を収穫時期が到来した後に制限しているのは果実が不当に廉価で売却されることを防止する趣旨です。
 差押物である果実は、執行官において収穫する権限を有しているものと解される。何故なら執行官は、差押物を自ら占有し、売却し、買受人に引渡す権限及び義務を有しているからです。
 蚕を差押えた場合には、本条の規定を類推して全部が繭となった後でなければ売却してはならない。
 動産執行継続中に、強制執行の一時停止を命ずる旨を記載した裁判の正本、又は債権者が債務名義成立後に弁済を受け、若しくは弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出があった場合には、執行官は、以後の執行手続を停止しなければならないが、売却手続を停止すると、差押物が腐敗したり、腐敗しない物でも長期間を経過することによって風化したりして著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官の善管注意義務の一つとして、執行官は、当事者の申立がなくても、職権で、その差押物を売却することができる。この場合の売却方法は、一般の差押物の売却の場合と同じです。
 差押物を売却したときは、執行官は、民事執行規則一三条、一一九条の規定により売却調書を作成しなければならない。
 執行官は、これにより差押物を売却したときは、その売得金は供託しなければならない。この供託は、保管供託であり、執行官は、執行停止が解除された等供託金の取扱事由が生じた後に取戻請求をし、執行が続行された場合には配当等の手続を行い、執行手続が取消されたときには債務者に交付する。

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