差押えの通知

 執行官は、差押えをしたときは、債務者にその旨を通知しなければならない。債務者が占有する動産又は債務者以外の者の占有する動産を差押えるについては、債務者の立会いは差押えの要件ではないから、差押えを受けた債務者にその旨を了知させるためにこのような規定がおかれたものです。この場合には差押えられた動産を特定して通知すべきです。実務では差押調書謄本を送付することによって、この通知を兼ねている取扱いが多い。
 通知は普通郵便、はがきはもちろん、口頭又は電話等適宜の方法によってする。通知をしたときは、その旨及びその方法を記録上明らかにしなければならない。
 債務者が差押えに立会っている場合には、その現場で口頭で通知すれば足りる。
 債務者が所在不明のとき、又は外国にいるときには、通知をする必要はない。この場合はその事由を記録上明らかにしなければならない。

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 執行官は、動産の差押えをしたときには、差押調書を作成しなければならない。
 差押調書には次の事項を記載しなければならない。
 事件の表示、民事執行に着手した日時及びこれを終了した日時。
 執行に着手して、その日に執行行為を完了せず停止又は続行した場合、あるいは、執行不能で終了した場合でも調書は作成しなければならないから、終了した日時としてこれらの日時を記載することになる。
 民事執行の場所は、地番、家屋番号、室番号等によって特定する。執行の目的物は、その種類、材質その他の差押物を特定するに足りる事項のほか、差押物の数量及び評価額を明らかにしなければならない。
 蚕の差押えをしたときは、規則には特別の規定を設けていないが、旧執手規二七条に規定していたと同様にその所在の場所及び数量並びに繭の種類、繭となる時期及び予想収穫量を記載すべきです。
 民事執行に立会った者とは、執行に立会った執行関係人をいうのであって、債権者又はその代理人、債務者もしくはその代理人、又はこれらの者がいない場合の立会人等です。執行官が補助者として使用した者、警察上の援助をした警察職員、買受けの申出をした者等は執行に立会った者に含まれない。
 執行官が現実に行った執行行為の内容を具体的に記載する。どの程度まで詳細に記載するかは執行官の判断によるが、法律的に意義をもつ重要な事項は漏れなく記載しなければならない。
 民事執行に着手した後これを停止したときは、停止の事由としては、法三九条一項各号に掲げる文書の提出、執行官が執行の途中で任意弁済を受けたこと等により執行を停止する場合です。
 民事執行に際し抵抗を受けたときは、抵抗をした者及びその抵抗の態様、状況を明らかにし、執行官又はその補助者が威力を用いたときはその態様を、警察上の援助を求めたときはその旨を記載する。
 民事執行の目的を達することができなかったときは、その事由、執行の目的物の不存在、債務者の居所不明、売却不能等、何らかの事由により民事執行の目的を達しなかった事由がこれに該当する。
 民事執行を続行することとしたときは、その事由、執行の途中で午後七時を過ぎた場合、執行が大規模のため一日では終了せず翌日に続行した場合には、その事由を記載する。
 債務者から差押物について自己の所有に属しない旨の申出があった旨の記載。債務者から差押物について自己の所有に属しない旨の申出があった場合は、その旨を記載しなければならない。債務者の占有補助者(配偶者等)からその旨の申出があったときは、債務者の申出に準じて扱う。
 以上のほか、調書には作成年月日を記載し、執行官が記名押印しなければならない。
 執行官は、民事執行に立会った者に、調書に署名押印させなければならない。このように調書に署名押印させることは、その者が執行に立会ったことを確認させ、これについての明確な証拠を残す意味である。したがって立会った者に調書を読み聞かせ又は閲覧させる必要はなく、事件番号、執行に着手した日時、執行の場所等事件を特定するに足りる事項の記載がある限り、調書が未完成であっても署名押印を求めることができる。
 立会人が署名押印しなかったときは、執行官は、その事由を調書に記載しなければならない。署名押印しなかった場合とは、署名押印を拒否したときはもちろん、民事執行に立会った者が執行の途中で現場を立去った場合も合まれる。
 執行官は、債務者、差押債権者又は第三者に差押物を保管させたときは、次に掲げる事項を記載した調書を作成し、保管者に署名押印させなければならない。債務者不在時に差押物を債務者保管とした場合には、保管調書に債務者の署名押印は不要です。
 保管者の表示、保管させた年月日、保管させた場所、保管させた差押物、差押えの表示の方法、保管に関する定め。
 保管に関する定めとしては、保管費用、保管方法などの保管に関する約款をいうのであって、ほかに保管させる時に指示した事項や、一定の報告を求めたこと等を記載する。
 差押時に差押物を債務者等に保管させたときは、差押調書と差押物の保管に関する調書とを兼ねた一通の調書を作成すれば足りる。したがって、本条一項の調書は、それ以外の場合に独立の調書として作成することになる。
 執行官は、保管者から差押物の返還を受けたときは、調書を作成するまでもなく、そのことを記録上明らかにしておけば足りる。
 保管者から差押物の返還を受けたときに、差押物に不足又は損傷があった場合には、債務者の利益を損うことになるばかりでなく、差押物の価値に影響を及ぼすことになるので、それに対処させるために、執行官は保管者でない差押債権者及び債務者に対しその旨を通知するとともに、不足する差押物又は差押物の損傷の現況を明らかにし、これらの差押物について執行官の探った措置を記載した調書を作成しなければならない。
 この場合執行官が探り得る措置としては、例えば、差押物に不足又は損傷を生じた原因の究明、不足している差押物の探索、これを発見した場合の取戻し、不足又は損傷を生じた原因が犯罪を構成する場合の告発などが考えられる。
 執行官がこれらの措置を探ることは義務づけられているわけではなく、執行官は具体的事案に応じて適宜の措置を採れば足りる。
 保管人の責に帰すべき事由によって差押物が損傷した場合で、修復が容易であるときは、執行官は、保管人に対してその修復を命ずべきです。
 保管者を変更しないで、差押物の保管場所を変更する場合には、執行官は、旧保管場所において差押物の点検を行った上点検調書を作成し、保管場所を変更した旨を記録上明らかにする。差押物の保管場所を変更するとともに、保管者も変更する場合には、執行官は、旧保管場所において点検を行った上点検調書を作成し、差押物の返還を受けた旨を記録上明らかにし、新保管者との関係で保管調書を作成すべきです。

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