自動車に対する強制執行

 自動車に対する強制執行は、船舶執行と同様本来は動産でありながら、登録を権利の得喪、変更の対抗要件としている等の事情から、その執行手続は原則として不動産競売に準ずるものとされています。
 道路運送車両法九七条二項は、登録自動車に対する強制執行及び仮差押えの執行に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとしていますが、その委任規定に基づいて民事執行規則により登録自動車に対する強制執行の手続が定められています。

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 自動車とは、原動機による陸上交通機関のうち、軌条又は架線を用いるもの及び原動機付自転車を除いたものです。自動車のうち軽自動車、小型特殊自動車及び二幅の小型自動車以外の自動車は自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならず、登録を受けた自動車の所有権の得喪、抵当権の得喪、変更は、その所有権等の登録を受けなければ第三者に対抗することができないとされています。
 このような登録自動車は、登録が権利の得喪の対抗要件とされているのに件い、観念的な命令行為による差押えが可能であること、売却後に執行機関による抵当権の消滅、所有権の移転の登録の嘱託手続をしなければならないことなどを考慮して、登録自動車に対する強制執行は、地方裁判所が執行裁判所として管轄するものとされ、その執行方法は強制競売の方法によるものとされたのです。
 自動車抵当法二条但書に規定する大型特殊自動車で登記されたものに対する強制執行は、建設機械に対する強制執行の方法により行い、軽自動車、小型特殊自動車、二輪の小型自動車、未登録自動車、大型特殊自動車で登記されていないものに対する強制執行は、動産執行の方法により行うことになる。
 自動車執行については、その自動車の自動車登録ファイル犯登録された使用の本拠の位置を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。この管轄は専属です。
 執行申立て後に自動車の変更登録や、登録換え等により、使用の本拠に異動を生じても管轄には影響を及ぼさない。
 自動車執行の管轄が、船舶、航空機執行と異なり、所在地主義が採られず、本拠地主義を採用したのは、自動車は、船舶、航空機と比較してはるかに軽快であるため、その移動性が高いことから、目的物の所在地を基準として管轄裁判所を定めると、管轄の存否の碩定か極めて困難となり、しかもその管轄は、著しく偶然的、浮動的なものとなるからです。
 このように本拠地主義を採ることとしたため、所在地主義を採用する場合に比して、目的物の迅速な捕そくに欠けるところがあるが、この場合は、規則九七条において法一一五条を準用しているので、迅速に自動車を捕そくする必要があるときは、債権者は自動車執行の申立て前に自動車の所在地を管轄する地方裁判所に対し、自動車引渡命令を求めることができるものとして、自動車の所在地でとりあえず自動車を差押えることができるようにして、本苑地主義の欠陥を補っている。
 自動車執行の申立書には、債権者、債務者並びに代理人の表示、債務名義の表示、目的自動車の表示及び自動車執行を求める旨、自動車の表示としては、執行の目的である自動車を特定し得べき事項を掲げれば足りるのですが、具体的には、自動車登録番号、車名、型式、車台番号、原動機の型式等の記載を要する。
 債務名義に記載された請求債権の表示、その請求債権の一部についてのみ強制執行を求めるときは、その旨及びその範囲、自動車の自動車登録ファイルに登録された使用の本拠の住設(自動車の本拠)を記載しなければならない。
 登録された使用の本拠というのは、自動車が運行の用に供される場合の本拠地で、自然人における住所に相当し、通常その自動車を格納すべき車庫の所在する場所がこれに該当するわけであるが、自動車執行の申立書に記載する本拠というのは、自動車登録ファイルの表示部の「使用の本拠の位置」欄に記載された場所を意味する。その場所が実質上の使用の本拠の位置に該当するかどうかは問わない。
 自動車の本拠を記載するのは、自動車の本拠を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄するものとされているので、自動車執行の申立てを受けた裁判所が、当該自動車執行について管轄権を有することを明らかにするためです。

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