担保権の承継

 担保権について承継があった後に競売の申立てをするには、担保権の承継を証する文書を提出しなければならない。
 競売の開始決定後に差押債権者に承継があった場合も、同様これを証する書面を提出して手続の続行を求めることになる。これら承継を証する文書の提出は、あたかも強制執行において要求される承継執行文の提出に相似たものです。

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 相続、会社合併等一般承継にあっては、承継を証する文書としては、戸籍騰、抄本、会社登記簿謄、抄本等が考えられますが、私文書でも足りるとされています。
 この担保権の承継について、担保権の移転の登記をしてあればその登記簿の謄本を提出するだけでよいが、もし登記を経てなければ、法一八ー条一項の登記簿謄本と、相続その他一般承継を証する文書を提出しなければならない。
 私文書の提出で足りるとしているのは、遺産分割協議書、相続分なき証明書等によって承継の事実を証明する場合があるからです。
 特定承継の場合の承継を証する書面は、公文書に限られています。特定承継については、当事者が合意する際に容易に公文書を作成することができるからです。
 承継を証する公文書としては、承継人への担保権移転の登記がされている登記簿謄本が通例であるが、それ以外には、移転、譲渡を証する裁判の謄本、又は和解、調停調書の謄本、公正証書の謄本などを提出して、譲受人が抵当権の実行としての競売を申立て又は競売の続行を求めることができる。
 この場合承継人が担保権移転の登記を経由していない場合でも、他に債権譲渡の対抗要件を具備した第三者がいない限り承継人は担保権の順位にしたがって配当を受けることができる。
 抵当権付債権の転付を受けた債権者の場合は、転付命令によって抵当権の移転がされたことが明らかであるから、抵当権移転の登記を経るまでもないと解されるが、民事執行法は、抵当権付債権について転付命令、譲渡命令等が確定したときには、執行裁判所の裁判所書記官は、申立てにより抵当権移転の登記を嘱託することができることとされているので、移転登記を径た上で競売の申立て又は競売の続行を求める例が多くなろう。
 抵当権付債権を差押えた債権者が、差押命令による取立権に基づいて抵当権を実行する場合には、法一五〇条による差押えの登記をするまでもなく、差押命令の謄本を提出して競売の申立て又は競売の続行を求めることができる。
 抵当権付債権について、代位弁済したことにより抵当権者に代位しようとする者は、代位による抵当権移転の登記を経て、その登記簿の謄本を提出して競売の申立てをすることができる。登記を経ていないときは、代位弁済の事実を公正証書によって証明しなければならない。
 共同抵当における次順位の代位の場合はその抵当権の登記に代位の附記登記を経て競売の申立てをすることになる。
 競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、債務者、所有者の双方に対し開始決定の正本を送達する際に、法一八ー条一項から三項までに規定する文書の目録を送付しなければならない。すなわち債務者、所有者がこの証明文書の作成に関与したことにより、その内容を知ることができるものについては文書を表示し、内容を知ることができないものについては、文書の写しを送付することにより告知しなければならないとされている。この文書の内容を告知することは債務者、所有者に対し、担保権の存在について不服中立ての機会を与えるためです。
 競売開始後に差押債権者に承継があり、その承継の事実を証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、債務者、所有者に対し、その旨を通知しなければならない。債務者、所有者に対し、法一八二条による執行異議の申立てをする機会を与えるためです。

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