競売申立書の添付書類

 旧法下では、申立ての段階でなくとも、担保権の存在を立証できれば、未登記の抵当権、あるいは仮登記抵当権であっても抵当権の実行をすることができたのであるが、民事執行法では、一般先取特権を除き執行機関である執行裁判所に実体権の有無を判断させるのは、手続的に問題があるということ、加えて代金納付後は担保権の不存在又は消滅により買受人の不動産取得の効果に影響はないとする法一八四条の新設のために、法一八ー条一項に掲げるような担保権の存在を証明する公文書を提出しなければならないとされたのである。これらの文書は、強制執行における債務名義に匹敵する文書であって、手続の基礎となるものと考えることができ、差押名義とか、実行名義といわれています。そしてこれらの文書は、法定されているので、これ以外の文書で担保権の存在を証明することは許されません。
 したがって私書証書による抵当権設定契約をしている者は、競売の申立ても配当要求もできない。この者が配当を受けるためには、仮差押えの執行をする以外にない。

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 担保権の実行としての競売は、担保権に内在する換価権能に基づいて競売の申立てをするのであるから、その換価権の存在を立証するのにもっとも適当な文書の提出が要求されるのであって、その文書は次のとおり法定されています。
 未登記又は仮登記の担保権の場合には、担保権の存在を証する確定判決、家事審判法一五条の審判もしくは確定判決と同一の効力を有する請求の認諾調書、裁判上の和解調書、民事調停調書、家事調停調書等の謄本、担保権が有効に設定されているという判断がされている仲裁判断の謄本、担保権設定の合意の記載がある公正証書の謄本。
 執行裁判所は、これらの所定の文書が担保権の存在を証明するかどうかの判断はもちろんすることになるが、ここに掲げた文書であるなら、その判断は容易である。すなわち、担保権の存在を証するものであれば、担保権の存在を確認する判決だけでなく、担保権設定登記又は担保権設定回復登記を命ずる判決及び家事審判、認諾調書、このような内容の合意のある裁判上の和解又は調停調書や、担保権不存在確認請求や、担保権抹消登記請求についての請求棄却の確定判決などはその適例です。
 担保権の実行としての競売の申立においては、もっとも典型的な文書です。担保権の登記とは、設定登記だけでなく、抵当権移転の登記で差し支えない。
 抵当権の承継があった場合に、承継人が抵当権移転の登記を経ていない場合には、前述旧の文書と承継を証する文書を添付する。
 この文書は換価権である担保権の存在を立証できるので、特に被担保債権にっいての立証は必要としない。
 一般の先取特権の実行について、その先取特権として通常考えられるのは、給料債権ですが、これについての存在証明は特に先取特権者の権利の保護を図るため簡易な文書、例えば、勤務先の給料支払担当者の給料の支払をしていない事実の証明とか、賃金台帳の写しなどで足りることにしています。この場合には執行裁判所としては、前述した確定判決等とは異なり、実体権、すなわち先取特権の存在についての判断をしなければならない。
 民事執行法は、一般先取特権の実行の場合を除いて、前述のように担保権の存在の立証方法を法定しており、その法定の文書を提出すれば、それ以上に担保権及び被担保債権の存在について立証を要せず、執行裁判所は、担保権等の存否を実質的に判断することなく開始決定をすることとしている。
 したがって、競売の申立にあたっては、この法定文書以外に被担保債権の現存することを証する書面などを提出することは要求されていない。
 つまり担保権の実行は、担保権という実体権に基づく換価をいうのであるから、競売申立の段階では担保権の存在さえ立証すればよいので、それによって競売手続を開始するための要件が充たされるということなのです。
 しかし、抵当権者が競売による換価を続行し、配当により競売の最終目的を達するためには、担保権及び被担保債権の存在が必要であることはいうまでもなく、それが欠けていれば債務者又は所有者は開始決定に対する実体上の異議を申し立てることができるのです。この場合には、抵当権者は担保権の設定が有効になされ、かつ、被担保債権が現存することを立証しなければならないので、競売申立の段階において異議の申立に備えてその存在の立証のための資料を整理しておくことが必要でしょう。
 競売申立の際、被担保債権の弁済期が到来していることを証する文書を添付する必要はない。弁済期が到来している事実は、法一八ー条一項各号の文書自体で判明するからです。もし、弁済期が到来していないにもかかわらず競売開始決定がされたときは、債務者又は所有者は、法一八二条に準じ、執行異議を申し立てることができる。
 競売申立書の記載自体から弁済期米到来が明らかであるのに、開始決定がされたときは、手続上の瑕疵を理由として法一一条による執行異議の申立てができる。
 抵当証券の所持人が競売の申立てをするには、抵当証券のみを提出すれば足りる。
 抵当不動産について第三取得者が存在する場合には、その第三取得者に対して抵当権実行の通知をしたことを証する書面を添付しなければならない。
 この通知は内容証明郵便でされることになるから、配達証明も添付する。先取特権及び不動産質権の実行の場合には、民法三八一条の規定が準用され、また地上権又は永小作権を目的とする抵当権についても同条の規定が準用されているので、これらの場合には、第三収得者に対し抵当権実行の通知をし、その通知をしたことを証する書面を添付することになる。
 不動産競売の申立書にも規則二三条各号に掲げる書類を添付することを要する。この場合同条一号及び二号中「債務者」とあるのは、「所有者」と読み替えることになる。
 相続財産法人に対して競売の申立てをする場合には、家庭裁判所の相続財産管理人選任の家事審判書の謄本を、代理人による申立には代理権を証する書面を、当事者が会社その他の法人又は未成年者の場合には、代表者又は法定代理人の資格を証する書面を添付しなければならない。
 東京地裁では、債権者に対し目的物件の現況及び権利関係の調査を的確、迅速に行うため、最寄駅等から目的物件への案内図及び土地の公図を提出することを希望している。
 競売の申立てをするには、債権者は競売の手続に必要な費用として執行裁判所の定める金額を予納しなければならない。
 競売申立てを却下する決定に対しては、執行抗告ができる。競売手続の取消決定に対しては、法四一条により執行抗告ができる。
 なお、却下決定又は取消決定が確定する前に、予納金額を納付すれば、却下決定又は取消決定は取消される。このほか申立債権者は、書類の送達又は通知費用として郵便切手をもって所要の額を納付しなければならない。

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