競売の配当の手続き

 配当等に充てるべき金銭は、債務者等に収益を分与した場合には、分与をした後の収益又はその換価代金から、不動産に対して課される租税その他の公課があれば、それを控除して支払い、管理人の報酬やその他の必要な管理費用を控除したものです。
 なお、強制管理手続を開始したものの、配当等に充てるべき金銭(収益)を生ずる見込みがない場合には、執行裁判所は、強制管理手続を取り消さなければならない。
 配当等を受けるべき債権者は、強制管理の申立てをした差押債権者、仮差押債権者、仮差押命令を得た債権者は、仮差押えの執行として強制管理の申立てをするこができる。既に強制管理が開始されていても、この申立てができる。この場合は、強制管理の競合する場合と同じ手続をする。仮差押債権者に対する配当額に相当する金銭は供託される。
 配当要求をした債権者、強制管理においては、配当要求のできる債権者は、執行力のある債務名義の正本を有する債権者に限られている。仮差押債権者でも配当要求はできない。
 管理人による配当の実施は、執行裁判所の定める期間ごとに行われることになるので、その期間までに強制管理の申立て又は配当要求をした債権者のみが配当にあずかることができる。そしてその債権者等が、その期間の配当を受けて、なお債権全額の満足を受けられないときは、じ後の期間ごとに債権の満足を受けるまで続けて配当を受けられる。
 したがって、ある時期の配当にあずかる債権者と、他の時期の配当にあずかる債権者とが異なる場合も生ずる。

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 強制管理の管理人は、執行裁判所の定める期間ごとに、配当を実施しなければならない。この執行裁判所の定める期間とは、当該期間ごとに管理人が配当等を実施すべきものと定めた期間をいうのであって、実務では一か月か二か月とする場合があるが、収益をある程度一括して配当するために三か月とする例もある。
 管理人は、執行裁判所の定める期間の満了後、配当等を実施するに先立ち、遼やかに、当該期間内に収取した収益又はその換価代金、法九八条一項の規定に基づく分与決定により債務者に分与した金銭又は収益、当該不動産に対して課される租税その他の公課、それに管理人の報酬その他の必要な執行費用の明細と、これにより配当等に充てるべき金銭の順を執行裁判所に報告しなければならない。
 この報告は法一〇七条一項の期間ごとにしなければならない。
 この報告は、管理人の職務執行につき監督すべき立場にある執行裁判所が、配当等に充てるべき金銭の順の収支計算が適正な費目及び順に基づき行われているか否かを審査し得るように、前記の期間満了後速やかに報告すべきものとしているのです。
 報告を受けた執行裁判所は、これを審査し、その内容について疑問があれば、更に報告を求め、費用の控除を禁ずるとか、収益の換価方法や換価頓について指示をすることができると解されている。
 管理人は、執行裁判所の定める期間ごとに配当等を実施しなければならないとされているが、これらの手続を実施するため、管理人は執行裁判所の定める配当を実施すべき期間の満了後二週間以内の日(期間の満了と配当協議の日の間には、二週間以上をおくことはできない。手続の迅速処理からで、債権者数も少なく配当計算書を作成するのにそれほど時間を要しないと考えられてのことです。ただ、この期間制限は訓示規定と解されている。配当協議の日又は弁済金の交付の日と定め、その日時及び場所を配当等を受けるべき各債権者及び債務者に対して通知しなければならない。この二週間以内の日という期間は、収益等の報告及び後に述べる配当計算書作成に要する日時を考慮して指定すればよい。配当の協議の方法にっいては、法は何らの規定をおいていないので、適宜の方法により協議をすればよいと解されている。したがって、各債権者間の任意の協議によって配当方法、配当額を定め、それを書面に作成して提出された場合には、管理人は、その協議結果に従って配当を実施してよいわけですが、通常各債権者間において任意に協議が調うことは期待できないので、管理人が配当協議等の期日を定めて各債権者の出頭を求めた上、配当について協議することにしたのです。
 この期日の通知は適宜の方法によることができる。配当協議等の日の指定及び通知は、法一〇七条一項の期間の満了前にあらかじめしておくことは差し支えないとされている。
 管理人は、配当協議の日までに当該期間内における配当計算書を作成する。執行裁判所の配当の場合には、配当期日前にあらかじめ配当表の原案を作成しておく取扱いであるので、これに類似する規定です。
 配当計算書は配当協議の日までに作成しておけばよいのですが、配当協議の日こ債権者の一人でも出頭しないと協議不調ということで、執行裁判所の配当に移行することになることは、出頭した債権者にとっても、また、執行裁判所にとっても煩しいことになるので、管理人は配当協議の日の通知と共にあらかじめ配当計算書の写しを各債権者に送付し、配当協議の日に出頭できない場合には、それに対する異議の有無を書面で申し出るよう催告する取扱いをすれば、配当計算書の内容に異議のない場合には迅速に処理できるので便宜です。この手続をとるためには管理人は配当計算書を配当協議の日の通知と共に送付できるよう早い段階で作成する必要がある。
 配当計算書の記載事項は、配当等に充てるべき金銭の額のほか、各債権者について、債権の元本、利息その他の附帯の債権、執行費用の額並びに配当の順位及び額です。配当順位は、強制管理においては租税債権を除き、各債権者は全員同順位である。
 弁済金の交付をするときには、このような計算書を作成する必要はない。しかし、弁済金を明確にするため通常は交付計算書を作成している。
 配当計算書は管理人が保存する。管理人は記録を作成しないので、適宜の方法で保存すればよい。執行裁判所に事情届を提出する場合には、配当計算書を添付しなければならない。その場合には執行裁判所の執行事件記録に綴られることになる。
 執行裁判所が監督権の行使として、配当計算書の提出を求めたときは、管理人はこれを提出しなければならない。管理人の任務が終了したときの計算の報告の際には、計算報告書に配当計算書を添付して提出する取扱いが適当であるとされている。
 弁済金の交付の日において配当等にあずかる債権者が一人である場合、又は債権者が二人以上であっても、配当等に充てるべき金銭で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、管理人は、債権者に弁済金を交付し、剰余金があれば債務者に交付する。各債権者が弁済金の交付により、その債権及び執行費用の全額の満足を受けたときは、管理人は遅滞なく、執行裁判所に計算の報告と共に任務が終了したことを報告しなければならない。
 執行裁判所は、管理人から報告を受けたときは、強制管理手続を取り消さなければならない。この取消決定に対しては執行抗告ができる。
 取消決定が確定したときは、裁判所書記官は、差押えの登記の抹消登記の嘱託をすることになる。
 債権者が債権の全額の満足を受けた場合についての執行力のある債務名義の正本の交付は、強制競売の場合と同様です。
 債権者が二人以上いて、各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができないときは、管理人は、配当協議の日に、出頭した各債権者に対し管理人の作成した配当計算書を閲覧させ、債権者全員がそれで了承すれば、その配当計算書に従って配当を実施する。
 この債権者には、仮差押債権者、執行停止中の債権者も含まれる。
 配当協議の日に、債権者間で管理人の作成した配当計算書と異なる協議が調ったときは、管理人はその協議に従って配当計算書を改めて配当を実施することになる。
 さきに述べたように、配当の協議方法にっいては、何らの規定がないので、適宜の方法により協議をすればよいと解されている。例えば、配当協議の日以外の機会に債権者間で任意に協議をした上、協議結果が書面によって管理人に提出された場合には、管理人は、協議が調ったものとしてその協議結果に基づいて配当計算書を作成して配当を実施してよい。
 これらの配当計算書は、配当表と異なり、その記載内容は協議の内容を証するものです。
 債権者間に協議が調わないときには、管理人は、その事情を執行裁判所に届出なければならない。この場合には執行裁判所において配当手続を実施することになる。
 法三九条一項一号ないし六号の強制執行の停止及び取消し文書が、法一〇七条一項の執行裁判所の定める配当を実施すべき期間の経道後に提出されたときは、その者に対する配当はしてはならないが、たとえこの取消文書により強制管理手続が取消しになっても、他に配当を受けるべき債権者があるときは、その債権者のためにその期間における配当を実施すべきである。この期間経週後に一時停止を命ずる文書の提出があったときは、管理人は、それを無視して配当(弁済金の交付)を実施してよい。
 管理人が配当を実施する場合において配当等を受けるべき債権者の中に、仮差押債権者とか、法三九条一項七号の文書の提出により執行停止中の債権者がいる場合には、管理人は、これらの債権者に交付すべき弁済金又は配当金は管理人においてこれを供託し(民執一〇八条前段)、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。以後の手続は執行裁判所において行うことになる。債権者が、配当等の受領のため出頭しなかったときもその者に対する配当金等は管理人において供託する。この不出頭供託は、債権者ごとに各別にする。この供託は弁済供託に準ずるものとして取り扱われるので、管理人は、供託言に債権者宛の供託通知書及び郵券を付した封筒を添付する。この供託金の払渡しは、彼供託者(不出頭債権者)の還付請求によってされる。
 不出頭供託については、執行裁判所への事情届は不要です。
 法一〇四条一項の強制管理が停止されたとき及び法一〇八条の配当等を受けるべき債権者に金銭の交付ができないときは、管理人は、配当等に充てるべき金銭の全部又は一部を供託して、執行裁判所に対しその旨の届出をすべきです。
 この届出は書面ですべきで、その書面には、供託すべき事情を記載して届け出ることから事情届といわれている。
 事情届には次に掲げる事項を記載しなければならない。
 事件の表示、差押債権者及び債務者の氏名又は名称、供託の事由及び供託した金額。
 供託の事由は、法一〇四条一項、又は法一〇八条に該当する事実を摘示して記載すべきです。法三九条一項七号又は八号の文書が提出されたことは、裁判所書記官から管理人に通知されているので、管理人はそれに基づいて記載できる。
 事情届を提出する際には、供託書正本と、配当計算書が作成されている場合には、配当計算書を添付しなければならない。
 弁済金の交付をすべき場合には、配当計算書は作成されないので添付できない。強制管理が停止されたときは、停止書面が提出された時期により配当計算書が作成されていないことがあるので、この場合には添付することができないことはもちろんです。
 配当計算書を添付させる趣旨は、執行裁判所の実施すべき配当等の手続において、配当表や、取益又はその換価代金の交付計算書の作成の参考資料とするためです。
 法一〇七条五項の配当の協議が調わないときは、管理人は、執行裁判所に対し次に掲げる事項を記載した書面で届け出でなければならない。
 事件の表示、差押債権者及び債務者の氏名又は名称、配当に充てるべき金銭の額、配当協議が調わない旨及びその事情の要旨。
 配当協議が調わない事情の要旨としては、管理人の作成した配当計算書に対し異議を申し出た者の主張の要旨、債権者の不出頭等を記載することになる。
 この事情届には、必ず配当計算書を添付しなければならない。執行裁判所の実施すべき配当の参考に供するためです。
 管理人が事情届をする際には、その保管に係る配当に充てるべき金銭を執行裁判所に提出すべきです。執行官が管理人に選任されている場合には、収益である金銭は入金の都度所属地方裁判所の保管金として提出されるので、事情届を提出する際こ現実に金銭が提出されるのではなく、保管の主体が以後執行官から執行裁判所に変わることになるだけです。この手続は動産執行において配当協議が調わなかった場合と同じです。
 管理人から配当協議が調わないことによる事情届が提出された場合には、執行裁判所は直ちに配当手続を実施しなければならない。配当金の交付手続は裁判所書記官が行う。
 執行裁判所が配当機関となって配当等を実施するのは、債権者間の協議不調により管理人から事情届出があった場合。
 強制管理の一時停止を命ずる文書が提出されたため、配当等に充てるべき金銭の供託がなされ、管理人からその旨の事情届出があった場合。仮差押債権者の債権、執行の一時停止が命じられている債権者の債権であるため、直ちに配当金の交付ができないので、配当等の額に相当する金銭の供託がなされ、その旨の事情届出があった場合です。
 配当手続を実施することができるようになったときは、執行裁判所は、それぞれ一月以内の日を配当期日又は弁済金の交付の日と定め、裁判所書記官は、弁済金の交付の日時及び場所を各債権者及び債務者に通知しなければならない。
 配当期日が定められたときは、裁判所書記官は、各債権者に対し計算書の提出の催告をする。また、債権者、債務者を呼び出さなければならない。
 執行裁判所は、弁済金の交付の日に交付計算書を作成して債権者に弁済金を交付し、剰余金は債務者に交付する。
 配当表は、配当期日において作成し、配当期日には出頭した債権者、債務者を審尋し、即時に取り調べることができる書証の取調べをすることができる。配当異議の申出、配当異議の訴え、配当額を供託すべき場合、権利確定等に伴う配当等の実施等は強制競売の場合と同じです。なお、仮差押えの執行としての強制管理においては、管理費用を控除した収益の残額(配当金額)は、管理人により供託される。
 各債権者、債務者に対する収益又はその換価代金の交付や供託金の支払委託の手鏡よ、裁判所書記官が行う。

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