差押不動産の強制管理の取消し

 強制管理にも一般執行と同様、執行の停止と取消しが考えられる。執行の取消事由としては、債権者が管理を続行するために必要な費用を予納しない場合、対象不動産の滅失の場合、無剰余の場合、目的不動産について競売の結果買受人が代金の支払をしたとき等があるが、執行取消の中でもっとも多いのは、強制管理開始決定があった後に一定の文書が提出された場合であって、法三九条一項一号ないし六号の文書が提出されたときは、執行裁判所は、執行を取り消すべきものとしている。
 強制管理が法三九条一項一号ないし六号の文書の提出により取消決定がされた場合は、規則二条一項三号により、その他の理由により取消決定がされた場合は、規則二条一項二号により差押債権者及び債務者に告知される。
 この執行の取消しの場合には、強制管理は当然に終了し、債務者の使用収益権が回復するので、強制管理手続を取り消す旨の決定が確定して効力を生じたときは、裁判所書記官は、管理人及び収益の給付を命じられた第三者に対しその旨を通知しなければならない。 申立てが取り下げられたときも同様です。
 旧法では強制管理の申立てが取下げられたときには、取消しの裁判を要すると解されていましたが、新法では取下げはその意思表示によって効力を生ずるものと解し、取消決定は要しないものとされた。
 収益の給付義務を負う第三者がいても、その者が収益を管理人に給付すべき旨を命じられていない場合には、取消し又は取下げの通知をする必要はない。
 なお、申立ての取下げの場合には、債務者に通知されることになっている。
 取消決定が効力を生じたとき又は申立ての取下げがなされたときは、裁判所書記官は、差押えの登記の抹消登記の嘱託をしなければならない。

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 法三九条一項七号又は八号の執行停止書面が提出された場合には、通常はその後の執行手続は停止するのが原則です。しかし、強制管理においては、債務者から使用収益権を奪ったままで、誰もその収益を収受できないで停止していなければならないということは、不合理であるということから、執行停止書面が提出されたときは配当等、現実に債権者に収益を交付する手続だけを止め、停止のときの態様で管理を継続できることとしている。例えば、賃貸マンションやアパートが管理の対象であれば、賃貸借はそのまま継続し、管理人は収益の収取ができるのである。したがって、契約期間の更新や、新たに賃貸借契約を締結することもできると解される。ただ、債務者の占有を解いて管理人自ら占有することは許されない。
 このように執行停止書面が提出されたため配当等の実施が許されなくなったことにより、管理人は、収益又はその換価代金から、債務者に対する分与及びその他の費用を控除した配当等に充てるべき金銭を供託し、執行裁判所に事情届を提出しなければならないとされている。ただし法一〇七条一項の期間の経過後に停止文書の提出があったときは、その期の配当等は実施できる。
 この供託した金銭は、供託の事由が消滅したときに、執行裁判所において配当等の手続を行うことになる。この供託金は、執行裁判所の支払委託に基づいて払渡しがなされる。
 この供託金額が、各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済できることとなったときは、執行裁判所は、配当等の手続を除き、強制管理の手続を取り消すべきこととしている。この場合は強制管理手続を継続する理由がないからです。
 執行停止文書が提出された場合でも、二重開始決定がされているときには、後の開始決定の事件で手続が続行されるので、法一〇四条の適用はない。
 法三九条一項七号又は八号の停止の文書が提出されたときは、裁判所書記官は、管理人に対しその旨を通知しなければならない。この停止の文書が提出されたときというのは、その提出文書が、真実、法三九条一項七号又は八号の文書に該当するものであるか否かの執行裁判所の審査を経た上、これに該当するとして強制管理が停止されたことをいうのであるから、裁判所書記官は、文書の提出があったからといって、直ちに管理人に通知してはならない。必ず執行裁判所の判断を待って通知をすべきです。
 なお、法三九条一項七号の強制執行の一時停止を命じる裁判の正本は、執行力のある債務名義の正本により配当要求をした債権者に対する配当等の実施を阻止し、その債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託させるためにも提出される。
 この場合にも裁判所書記官は、管理人に執行停止の文書が提出されたことを通知しなければならない。管理人は、当該債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託し、事情届をしなければならないからです。

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