競売不動産の売却決定の手続き

 執行裁判所は、執行官をして売却期日に入札又は競り売りを実施させ、最高価買受申出人又は次順位買受申出人を、あるいは特別売却を実施させて最高価買受人を定めさせているが、執行機関である執行裁判所は、債務者に代わつて売却の承諾をするにあたり、それ迄の執行手続及び買受けの申出が適正なものであるかどうかを職権で調査し、最終的に売却の許否を決定することができるようにするために、売却決定期日を設けている。
 売却決定期日は、特別売却の場合を除き、売却の期日の指定と同時に定められ、利害関係人に通知される。特別売却の場合には、売却の実施の終了後に指定され、利害関係人に通知される。
 売却決定期日においては、出頭した差押債権者、債務者、所有者、不動産上の権利者、買受申出人等の利害関係人は、自己の権利に影響する事由について売却の許可又は不許可に関する意見を陳述することができる。
 利害関係人らに意見を述べさせるのは、売却の許否について執行裁判所の職権発動を促すためと、執行手続の適正化による利害関係人の利益保護を目的とするものです。利害関係人の売却決定期日における出頭は自由であり、意見の陳述は同期日の終了までに書面によってもすることができる。
 利害関係人の意見の陳述、あるいは執行裁判所が記録により事実関係の確認が必要である場合は、売却決定期日又はその続行期日において、利害関係人その他参考人を審尋することができる。また、必要があれば、口頭弁論期日を関いて証拠調をすることもできる。このような必要性は売却手続について悪質な競売ブローカー等の関与の有無の確認などの場合に考えられる。
 執行裁判所は利害関係人の意見の陳述あるいは審尋の結果、その他事件記録により売却を許すべきでない事由があると判断したときには売却不許可決定を、売却を不許可とすべき事由がないときには、売却許可決定をする。これらの決定は、売却決定期日又はその続行期日において言渡される。
 売却決定期日には、裁判所書記官が立会い、期日の調書を作成する。調書には、利害関係人出頭の有無、出顕者の売却許可についての意見陳述の有無を記載する。売却決定期日は執行裁判所がその期日を閉じたときに終了する。

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 売却の実施の終了後売却決定期日の終了までの間に強制執行の一時停止を命ずる裁判の正本が提出された場合には、その裁判が請求異議の訴えの提起等に伴って仮の処分として発せられることが多いであろうから、執行裁判所は、他の事由によって売却不許可決定をするときを除き、売却決定期日を開くことができない。
 したがって、売却決定期日を終了することもできないので、売却実施終了の状態で手続を停止する。
 この場合には、最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消す旨の申立てができる。これらの者は、自己に対して売却許可決定がいっなされるか不明のままで、しかも提供した保証金の返還も受けられないというのは不合理であるとの理由から、買受けの申出の撤回が認められているのです。
 また、数個の不動産を同時に売却した場合において、そのうちの一部の不動産に対する買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがあるときは、執行裁判所は、無駄な手続を省くため、その余の不動産にっいては売却許可決定を留保しなければならないとしている。
 留保された不動産の最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取消し、保証金の返還を請求することができる。
 留保された不動産については、売却許可決定のあった不動産の買受人が代金を納付したときに、執行裁判所は競売手続の取消決定をする。
 この各場合により売却決定期日を開くことができなくなったこと又は売却許可決定が留保されたことは、最高価買受申出人及び次順位買受申出人は当然には知り得ないので、裁判所書記官は、各買受申出人に対し、この旨を通知し、これらの者に取消権行使の機会を与えることにしている。
 売却の実施が終了し、最高価買受中出入が確定したが、指定した売却決定期日を開けない場合というのは、例えば、農地の売却の場合、農地委員会等の許可が予想以上に時間がかかるとか、売却不許可事由の判断に時間を要する場合、法七二条一項の規定により売却決定期日を開くことができない場合、同七三条一項の規定により売却許可決定が留保された場合などが考えられるが、このような場合には、執行裁判所は、売却決定期日を変更することになる。
 期日の変更には、旧期日を取消すと同時に新期日を指定する場合と、旧期日を取消した上後日新期日を指定する場合がある。
 売却決定期日が変更されたときは、裁判所書記官は、変更後の期日を規則三七条各号に掲げる者及び最高価、次順位買受申出人に通知しなければならない。
 利害関係人等は、売却決定期日に出頭して売却の許否について意見を陳述すべき権利を有するからである。
 売却決定期日の変更については、これを公告する必要はない。

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