差押不動産の開札後の手続き

 執行官は、開札が終わったときは、最高価買受申出人を定め、その者の氏名又は名称及び入札価額を告げなければならない。最高価買受申出人となる者は、最高の価額をもって適正な入札をした入札人、一括入札の場合は各物件の入札価額の合計額が最高価額となる者を最高価入札人ですが、その者が差し出した入札書の必要的記載事項に不備があったり、保証の順に不足があることが発見されたり、買受けの申出をすることができない者が申し出たりしたことが判明したときには、第二位の価額を申し出た者が最高価買受申出人となる。最高価買受申出人がないときには、その旨を告げるのが相当である。この告知は、最高価買受申出人の確定を明らかにし、最高価買受申出人となった者に対する通知でもあります。しかし、最高価買受申出人となった者が売却場にいなかったとしても改めてこれに通知する必要はありません。

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 最高の価額で買受けの申出をした入札人が二人以上あるときは、執行官は、これらの者に追加入札をさせて最高価買受中出人を決定する。
 この追加入札については、入札の規定が適用される。但し買受け申出の保証は、既に提供してあるので、改めて提供することを要しない。追加入札について先に最高の価額で入札をした全員が入札すれば直ちに、入札をしない者があるときは、追加入札の催告後二〇分を経過した後に入札を締め切り、開札を行う。追加入札の場合には、入札人は先にした入札の入札価額に満たない価額による入札はできない。
 追加入札の結果、最高の価額で入札した者が一名であれば、その者が最高価買受申出人と決定するわけですが、再度、最高価の者が二人以上出た場合や、追加入札をすべき者全員が追加入札をしないときには、同価額の入札人又は追加入札をすべき者全員の間で、くじにより最高価買受申出人を定める。滞納処分による差押えの入札について、同趣旨の規定があります。
 くじの具体的方法については規定がないが、運用に委ねられている。入札人自身に引かせるのが原則ですが、入札人がこれに応じないときとか、不在の場介には執行官が引くことが許されるとされている。
 この方法により最高価買受申出人を定めたときは、執行官は、その旨を期日入札調書に記載しなければならない。
 旧法においては、競落人が代金を納付しなかった場合には、再競売に付し、保証金の没取と、代金不払の競落人に差額負担義務を課していたが、差額負担義務についての手続については解釈が分かれていたし、また、実行例も少ないこと、更に再度競売に付しても前の入札や、競売で他の買受申出人が適正な額の申出をしている以上、それ以上の高額で売却される保証はないこと等に鑑み、民事執行法はこのような時間と費用をかける無駄を省いて、換価の迅速化を図るため、これに代わるべき手続として次順位買受申出制度を設けたのです。
 すなわち、民事執行法では最低売却価額が適切、妥当な額で定められることが予定されているので、その額を上回る買受けの申出が二以上ある場合に、売却許可決定を得た最高価買受申出人が代金を納付しなかったため、その売却許可決定が効力を失った場合には、最高価買受申出に次いで最低売却価額を超えている高額の買受けの申出をした者(第二順位の者)が売却の実施の終了までに、執行官に対し、買受けの申出をしたときは、再度の売却実施をすることなく、その者に対し売却許可手続を行うことができるものとしている。次順位買受けの申出ができる者は、最高価買受申出人に次いで高額の申出をした者に限られるのであって、第三順位以下の者は、第二順位の者が次順位買受けの申出をしないときでも、次順位買受けの申出をすることはできない。
 具体的には、次順位買受けの申出は、最高価買受申出人の申出額から買受けの保証の額を控除した額を超える価額の申出をし、次順位買受申出人について売却許可決定がされ、同人が代金を納付した場合には、最高価買受申出人が代金を納付した場合よりも売却代金の額が大きいか又は同額である場合、かつ、最高価買受申出人の次の高額の申出をした者に限り許されることになるのです。
 例えば最低売却価額七〇〇万円、保証金一四〇万円の場合、最高値買受申出人の申出願八五〇万円とすると、七一〇万円を超える買受申出をした者でなければ次順位買受けの申出をすることはできない。
 次順位買受けの申出は、最高価買受申出人が代金を納付しないことにより同人に対する売却許可決定が効力を失ったときに、次順位買受申出人のために売却許可決定がなされる趣旨であるから、最高価買受けの申出について売却不許可決定がされたときには、次順位買受けの申出人のためにじ後の手続は行われることはない。
 次順位買受けの申出がされると、その申出人の提供した保証は、最高価買受申出人について売却不許可決定が確定するか、次順位買受申出人のために売却許可決定がされた場合には、代金を納付するか、あるいは次順位買受申出人について売却不許可決定が確定するまでは返還されない。
 執行官は、次順位買受けの申出の資格のある買受申出人がいる場合には、その者の氏名又は名称及び入札価額を告げて、次順位買受けの申出についての催告をしなければならない。
 次順位買受申出は口頭ですることができる。次順位買受けの申出の資格のある買受申出人、すなわち第二位の者が複数いるときは、その全員が次順位買受けの申出をすることができる。
 次順位買受けの申出をした者が二人以上あるときは、執行官は直ちにくじにより次順位買受申出人を定めることとされている。次順位買受申出人を定めるについて、最高価買受けの申出をした入札人が二人以上ある場合のように追加入札をせず、くじによって定めることにしたのは、追加入札の方法によると、その結果最高価の買受申出の額を上回ることがあるからです。
 この方法により次順位買受申出人を定めたときは、執行官は、その旨を期日入札調書に記載しなければならない。
 次順位買受けの申出がされた場合や、次順位買受けの申出ができる者が、その申出をしない旨を表明したとき、又は売却場に不在のときには、執行官は入札期日の終了を宣言する。入札期日の終了後は、次順位買受けの申出をすることはできない。
 執行官の作成すべき調書については、民事執行規則一三条に規定してあるが、同条は執行官が執行機関として民事執行を実施したときに作成すべき調書についての規定であって、執行官が、執行機関である執行裁判所の補助機関として職務を行った場合にはその適用はないと解されている。
 執行官のなす売却の実施は、執行裁判所の補助機関としてなすものであるから、民事執行規則四四条により調書が作成されることになる。
 執行官は、期日入札を実施したときは、その終了後遠やかに期日入札調書を作成し、執行裁判所に提出しなければならない。
 入札期日調書は執行裁判所が売却の許可又は不許可の決定をするための資料にするためであるから、期日入札終了後二、三日中には提出すべきです。
 旧法当時東京地裁においては、競売調書は競売期日の翌日に、大阪地裁においては、原則として即日、遅くとも翌日には提出されていたが、民事執行法下でも同様の取扱いである。

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