差押不動産の一括売却

 一括売却とは、数個の不動産を一括して同一人から入札又は競り売りの申出をさせて売却することです。旧法下ではこれについての規定はなかったが、実務上は、数個の不動産相互の客観的経済的な関係で、個別競売に比ベー括競売にする方がより高価に売却することができると予想されるとき、数個の不動産か一括競売しても、各債権者の債権及び執行費用を償うに足りる限度を超えた超過競売にはならないとき、各不動産上の負担の権利者又はその順位が各不動産につき異なることなく、配当額算定に支障のないときというような基準のもとに一括競売することも許されるとされており、各不動産上の負担の権利者又はその順位が異なる場合でも、一括競売と同一の目的を達するためにいわゆる抱合せ競売という工夫がなされていました。

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 差押不動産が土地とその上の建物である場合、宅地又は建物と私道とか、相隣地の場合、道路に面した土地とそうでない一団の土地であるような場合、また隣接する二個の建物である場合などには、一括して買受けるのが買受人には利益であり、そのため売却価額も高くなることもあるので、一括売却がとりわけ重要な意味をもっていたのです。
 民事執行法は、これを受けて、執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの不動産か二括して売却することを定めることができるとして手続の併合要件と、一括売却要件を規定したのです。
 これによると、同一差押債権者が同一債務者所有の不動産を同時に数個差し押えた場合は、規定による典型的な例ですが、差押債権者が主債務者と保証人に対し同時に執行した場合とか、連帯債務者である夫所有の土地と、その地上の妻所有の建物につき執行がされた場合、同一債務者所有の複数の不動産に対し複数の債権者から同時に又は時を異にして差押えがされた場合、例えば甲土地にはA債権者の強制競売、甲土地上の乙建物にはB債権者の不動産競売による差押えがされた場合のように債権者、債務者を異にしてもよいし、一方が強制競売、他方が競売であっても一括売却ができます。また、旧法上負担の異なるものについては一括売却ができないとされていたものについても一括売却が認められることになる。この場合不動産ごとに権利者を異にするときには、各不動産ごとに配当手続をしないと、実務上繁雑になるので、各不動産ごとに売却代金の額を定める必要上、一括売却代金を、各不動産の最低売却価額に応じて案分して得た額で配当することになる。このような場合には、執行費用の負担も各不動産ごとに定める必要があるが、同様執行費用の総額を各不動産の最低売却価額に応じて案分して算出する。したがって、先に述べたように一括売却のときには、各不動産ごとの最低売却価額と、一括した場合の最低売却価額を定めなければならないのです。しかし権利関係が同一で、配当手続上混乱を生ずることがないときには、一括売却される目的物全体についての最低売却価額を定めればよい。入札申出者は、各物件の入札価額を定め、その合計額をもって全物件につき一括入札申出をしなければならないのでこの旨を公告に記載する。一括売却ができるためには、もちろん同一買受人に買い受けさせるのが相当と認められるときという要件がなくてはならないのであるが、一括される不動産は同一執行裁判所の管轄区域内にあるものでなければならない。要件のほかに一個の申立てにより数個の不動産が差押えられ、そのうちの一部の不動産の最低売却価額で各債権者の債権及び執行費用の全額の弁済が見込まれるときには、他の不動産を一括売却することについて債務者、所有者の同意を必要とするとされています。
 この場合債務者等の同意がないと一括売却の措置が採れないので、執行裁判所は、債務者等に対しその旨意見を求めることにしています。
 一括売却について同意があると超過売却が許されます。この同意は、一括売却の決定前であれば撤回することが許されます。差押債権者が一括売却について債務者の同意をあらかじめ得ておくことは許されますが、差押前の同意は、債務者に不利益な執行契約であるとして無効と判断されることがあります。執行裁判所としては、このような書面が提出された場合には、債務者に対し同意の有無を確認すべきである。これに対し債務者から何らの応答がないときは、求意見書が債務者に到達したときに事前の同意を現在も維持しているものと推認して手続を進めることができます。
 意見を求めた債務者(所有者)が所在不明であるとか、同意の旨の回答がないとき、あるいは不同意の回答があったときは、一括売却の措置を採ることはできない。したがって、同意がない場合には、再度照会をするなどして手続を進行させるのがよい。
 別々に競売の申立てのあった数個の不動産を、一括売却に付するには、決定をもって手続の併合をすべきである。手続の併合は、売却方法として一括売却に付する旨を定めたときに同時に併合決定がされたことになるものと解される。この場合決定言を作成する必要はないが、双方の記録にその旨を明らかにしておくべきです。
 一括売却の定めがされたときは、個々の不動産のみについては買受けの申出をすることができなくなるので、これを事前に買受希望者に周知させる必要上、その旨を入札又は競り売り期日の公告に記載しなければならない。公告には、一括して売却される不動産を特定して、一括売却の定めをした旨を記載する。別事件の不動産を一括して売却する場合には、当訣別事件の表示、不動産の表示、最低売却価額をも併せて明らかにしなければならない。

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