強制競売の申立てに対する審理

 強制競売の申立てがあったときは、執行裁判所は、申立書や添付書類に基づいて強制執行をなすに必要な一般的要件(執行力のある債務名義の正本の有無、執行開始の要件の具備等)及び管轄の有無、申立てが方式を具備しているかどうか、目的不動産が債務者の所有に属すること、差し押さえるべき不動産につき法律上の譲渡禁止のないこと、などを審理します。この審理は口頭弁論を経ないですることができます。申立てが適式なものであるときは強制競売開始決定します。もし申立ての要件に欠陥があり、その瑕疵が補正できないときは、申立却下の決定をして、これを債権者に告知します。申立却下の決定に対しては債権者は執行抗告をすることができます。
 申立てを許容すべきときは、裁判所は申立債権者に執行手続に必要な費用を予納させた上(予納費用は各裁判所に一定の基準があるのでそれによって予納する)、強制競売開始決定します。申立債権者が費用を予納しないときは、執行裁判所はさきに述べたように競売申立てを却下し、又は競売手続を取り消すことができます。

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 強制競売開始決定には、当事者、請求債権、競売の目的不動産を表示し、競売を開始する旨及び処分制限の効果が生ずることを明らかにするために債権者のために不動産を差し押さえる旨の宣言が記載されます。
 強制競売開始決定は、裁判所書記官が職権で債務者に送達します。
 実務では債務者に対する開始決定正本の送達は、差押えの登記を嘱託し、登記官から差押えの登記の記入をした登記簿謄本が送付された後にしている取扱い例が多い。差押えの登記前に債務者に送達されると、債務者において直ちに目的不動産を処分するおそれがあるので、処分制限の実効を期するために、このような取扱いがされているのです。
 債務者が住所を移転したのに、登記簿上の住所について変更登記をしていない場合は、登記簿上の住所、本店所在地に送達します。もし送達できなければ、債権者をして調査せしめ、判明した住所居所、営業所、事務所に送達をします。これらの場所が知れないとき又はその場所において送達をするにつき支障があるとき若しくは債務者が就業する場所において送達を受ける旨の申述をしたときには、債務者の就業する場所に送達することができます。就業場所への送達は、本人に不利益をもたらすことがあるので、慎重に対処すべきです。債務者の住居所等が知れないため送達ができないとき、又は債務者が外国にあって民訴法一七五条の外国送達ができないときは、差押債権者の申立てにより公示送達をすることになります。開始決定後債務者が死亡しても執行を続行することができるから、相続人に対して送達をすればよい。相続人の存在又はその所在が不明のときは、執行裁判所は申立てにより特別代理人を選任し、この特別代理人に対して送達します。
 なお、執行裁判所の裁判所附記官は登記簿に記入してある根抵当権者及び抵当証券の所持人、裏書人に対し開始決定のあった旨を通知しなければならない。根抵当権者に対しては、民法三九八条の二〇第一項四号において根抵当権の目的となっている不動産に対し、第三者の申立てにより強制競売開始決定がされた場合には、根抵当権者がその開始決定があったことを知ったときから二週間を経過したときに当該根抵当権の担保すべき元本が確定するものとしているので、裁判所書記官は開始決定の旨を根抵当権者に知らせなければならないのです。この通知は普通郵便で足りる。但し送達の方法によることを妨げるものではない。通知を受くべきものが所在不明とか、外国に在るときは通知をする必要はない。この場合は、裁判所書記官はその事由を記録上明らかにしておくべきです。
 強制競売開始決定が取消されたとか又は競売手続が取下げによって終了した場合には、強制競売開始決定の旨を通知した根抵当権者等にその旨を通知する規定はないから必要はありません。
 強制管理の開始決定がされた不動産について、更に強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、強制管理の差押債権者及び管理人に対し、その旨を通知しなければならない。
 通知を受けた強制管理の差押債権者は、強制競売の開始決定の瑕疵に対して執行異議を申し立てるとか、売却許可決定に対して執行抗告を申し立ててその取消しを求めることができるし、強制競売事件に配当要求をするとか又は債務者の他の財産に対して強制執行の申立てをするというような方法を採ることができます。
 強制管理の管理人は、一定の管理計画の下に管理しているのであるから、強制競売の開始により、管理計画に支障を生ずることも考えられるので、管理人に対しても強制競売の開始決定がされた旨を通知するのです。
 強制管理事件の配当要求債権者には、この通知をする旨の規定はありません。配当要求債権者は、積極的に手続を進める立場にはなく、強制管理申立事件とその運命を共にする立場にあるに過ぎないからです。

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